共有物分割請求訴訟後の競売手続の進め方

共有物分割請求訴訟で競売を命ずる判決が確定した場合、その後共有者が自ら競売の申立てを行う必要があります。

競売手続は長期間に及び、かつ多くの工程を経る必要があるので、弁護士にアドバイスを受けながら進めるとよいでしょう。

共有物分割請求後の競売手続の流れ

共有物分割請求訴訟では、現物分割が不可能な場合、または分割によって物件価格が著しく減少するおそれがある場合には、競売を命ずる判決が言い渡されることがあります(民法258条2項)。

この判決が確定した場合、以下の流れに沿って競売手続を進めることになります。

形式的競売を申し立てる

共有物分割請求訴訟の確定判決に基づく競売は、「形式的競売」と呼ばれています。

民事執行法195条では、「民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による」と定められており、これが「形式的競売」に当たります。

したがって、共有物分割請求訴訟の確定判決に基づいて競売を行う際には、民事執行法の規定に従い、裁判所に対して形式的競売の申立てを行う必要があります。

なお、申立先は不動産の所在地(民事執行法43条2項の規定により不動産とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を管轄する地方裁判所です(同法44条)。

競売申立ての際の必要書類

形式的競売を申し立てる際に必要となる書類は、以下のとおりです。

裁判所によって取り扱いが若干異なる可能性があるので、正確な内容は申立先の裁判所または弁護士にご確認ください。

  • 競売申立書
  • 不動産登記事項証明書(発行から1か月以内)
  • 公課証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 共有持分権利者全員の住民票
  • 委任状(弁護士などを代理人として申し立てる場合のみ)
  • 競売を命じる確定判決の正本
  • 公図写し
  • 建物図面
  • 地図などの物件案内図
  • 不動産競売の進行に関する照会書(東京地裁における名称)

対象物件が執行裁判所によって差し押さえられる

執行裁判所は、形式的競売の申立てを受理した後、形式的競売の開始決定を行うとともに、対象物件を差し押さえる旨を宣言します(民事執行法188条、45条1項)。

その後直ちに、裁判所書記官が法務局の登記官に対して登記の嘱託を行い、迅速に差押えの登記が備えられます(同法48条1項)。

差押えの効力は、債務者に開始決定が送達された時または登記がされた時のいずれか早い時点で発生し(同法188条、46条1項)、それ以降対象物件の処分は禁止されます。

ただし、通常の用法に従った使用収益は、引き続き行うことができます(同条2項)。

執行官による対象物件の現況調査

形式的競売の開始決定後、執行裁判所は執行官に対して、不動産の形状・占有関係その他の現況に関する調査を命じます(民事執行法188条、57条1項)。

この現況調査の結果は、実際に形式的競売の入札や競り売りが行われる際の基準である「売却基準価額」を決定するための資料となります。

現況調査の結果は、執行官によって「現況調査報告書」としてまとめられます。

評価人による対象物件の評価

現況調査の結果を踏まえて、執行裁判所が選任した評価人は、対象物件の評価を行います(民事執行法188条、58条1項・2項)。

評価人には、不動産鑑定士が選任されるのが一般的です。

なお、対象物件の評価額は、競売手続であることを考慮して、市場価格よりもある程度ディスカウントされた価格となることが多くなっています。

執行裁判所による売却基準価額の決定

執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、対象物件の「売却基準価額」を決定します(民事執行法188条、60条1項)。

入札や競り売りの際に買受けの申出を行う場合には、この売却基準価額の80%以上の金額を提示しなければなりません(同条3項)。

入札または競り売り

形式的競売は、基本的に入札または競り売りの方法により行われます(民事執行法188条、64条2項)。

  • 入札:入札者が購入希望金額を記載して1回限りの入札を行い、もっとも高額の入札をした者が落札する方法
  • 競り売り:買受希望者が競り売り期間中に何度でも価格提示を行うことができ、最終的にもっとも高額を提示した者が落札する方法

どちらの方法を選択するかは、裁判所書記官が決定します(同法188条、64条1項)

執行裁判所による売却許可決定

入札または競り売りによって落札者が決定したら、執行裁判所が売却決定期日を開き、売却の許可または不許可を言い渡します(民事執行法188条、69条)。

原則として売却は許可されますが、資力不足や暴力団員等に該当するなどの売却不許可事由(同法188条、71条各号)が存在する場合には売却不許可となります。

この場合、次順位の買受申出人に落札権が移り、改めて売却許可・不許可の判断が行われます。

買受人による売却代金の納付・所有権の移転

売却許可決定が確定した場合、買受人は、裁判所書記官が定める期限までに、代金を執行裁判所に対して納付しなければなりません(民事執行法188条、78条1項)。

買受人が当該代金を納付した時に、買受人は対象物件の所有権を取得します(同法188条、79条)。

なお、買受人が代金を納付しない場合には、売却許可決定が失効し、次順位の買受申出人に落札権が移ることになります(同法188条、80条)。

各共有者への配当

執行裁判所は、買受人から代金の納付を受けた後、「配当期日」において配当方法を決定します(民事執行法188条、85条1項)。

事前に共有者間で配当方法を決めている場合、その内容を配当期日において執行裁判所に伝えれば、そのとおりに配当が行われます(同項ただし書)。

一方、配当方法が未定の場合には、共有持分割合に応じて配当が行われます(同条2項)。

配当の完了をもって、共有物分割に関する形式的競売の手続は完了です。

価格面では競売よりも任意売却が有利

前述のとおり、競売手続における売却基準価格は、市場価格よりもディスカウントされるケースが多く、共有者が得られる配当が目減りしてしまう可能性があります。

これに対して、共有者自ら直接売却先と条件交渉を行う「任意売却」によれば、競売のケースよりも売主に有利な条件での売却が実現できる可能性が高まります。

ただし、任意売却を提案する不動産業者などが不当に低い金額を提示してくる場合もあるため、市場価格に関する理解が不可欠です。

不安であれば、弁護士を通じて信頼できる不動産業者の紹介を受け、任意売却を行うための公正な見積もりを取得しましょう。

共有物分割請求後の競売手続は弁護士にご相談ください

共有物分割に関する競売手続は、共有物分割請求訴訟の代理人を依頼した弁護士に、アフターフォローとして引き続き依頼するのがもっともスムーズです。

依頼者様にご負担をかけず、円滑に競売の実行・配当の獲得を実現できるようサポートいたしますので、ぜひお気軽に弁護士へご相談ください。

初回相談60分無料。夜間土日祝相談対応可能。※要予約。共有状態を解消し、適切価格を確保するなら「共有物分割請求!」共有不動産でお困りの方はお気軽にご連絡ください。

0120-792-548
24時間受付。相談予約フォームはこちら